美容・形成外科医 中村優のブログ

美容・形成外科・メディカルイラストレーションなどについて書いていきます。

重瞼幅の違いによる切開二重術後の睫毛への影響について

重瞼幅の違いによる切開重瞼術後の睫毛への影響についてのシェーマです。
商用目的の利用でなければ版権フリーとします。

 

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閉瞼時 幅広切開重瞼術後    適正幅切開重瞼術後

 

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開瞼時 幅広切開重瞼術後    適正幅切開重瞼術後

 

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gif  幅広切開重瞼術後    適正幅切開重瞼術後

 

先端の灰色が瞼板
水色が眼窩隔膜及び挙筋腱膜
赤色はミュラー
薄ピンクが眼輪筋


二重の人は挙筋腱膜(水色)の枝が皮膚まで届いているため開瞼時に重瞼線が現れます。前回更新(一重と二重の構造の違いについて)も併せて読んで頂くと理解が深まると思います。

 

隔膜前葉を翻転させることで、生来の二重の人と同じような「皮膚への挙筋腱膜の癒着を再現する方法」での重瞼術の術式シェーマです。

 

幅広二重(左)は瞼板(灰色)への回転運動がかかりにくいのに対して、幅が適正(右)だと瞼板に上方への回転運動がかかり、睫毛がパッと上がりやすくなります。
つまり、幅広二重の切開法は睫毛が返らず、重くなりやすいのです。

 

なおこれに関しては注意事項があります。
これはどちらも皮下組織のトリミングを行わずに、隔膜前葉を翻転させて縫合部に縫着させる方法を取った場合の図です。
適正な幅で切ってもやり方が悪ければ睫毛は重くなるし、工夫をすれば幅広でも睫毛が返りやすくなる方法はあります。それこそ、術者の技量と工夫によります。

 

※このページのシェーマは教育・患者説明・学会発表などでの利用を想定したものです。
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2020・09・06 中村優