美容・形成外科医 中村優のブログ

美容・形成外科・メディカルイラストレーションなどについて書いていきます。

自分の目つきはなんと言えばよいのだろう?②~窪み目~

こんにちは、形成外科認定専門医 中村優です。
目つきのお話の各論、まずは窪み目のお話です。
f:id:NakamuraY:20201111223055p:plain窪み目、凹み目、奥目、sunken eyelidなど言い回しはたくさんあります。
ここで知っておいてほしいことは、ことアジア人においては窪み目は自然な二重ではない事が多いということです。
では、自然な二重とは何でしょうか。以前このブログでも取り上げたように挙筋腱膜の枝の皮膚への枝によリ生まれたラインのことを指します。自然な二重と、窪み目で出来た二重(らしきライン)との違いを図で示します。

 

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自然な二重は、おおよそ睫毛の際から7mm程度です。
一方、窪み目で出来る二重(らしきライン)は、睫毛の際から14mm程度です。
眼窩脂肪(図中 赤矢印)の萎縮によって瞼の皮膚が眼球の形なりに追従してできあがるラインです。
つまり、外人のような幅の広~い二重を希望される方の場合、なりたい理想のその二重はもしかしたらそもそも二重ではないかもしれませんよ、というお話。是非、知っておいて欲しいですね。

そして、今回の記事の知識は同時に最近の美容外科業界で流行っている(?)瞼の脱脂についても一つの知見を得ることが出来ます。

 

埋没二重手術を行う時に開ける小孔から脂肪を取ることで瞼の腫れぼったさを取る、という施術があります。その際に除去しているのはこの眼窩脂肪です。眼窩脂肪の結合は疎なのでニュルニュルっと取り出せます。そして、瞼の腫れぼったさはその浅層にある脂肪層(ROOF)も大きく寄与しており、これは結合が密なので容易にニュルニュルっとは取り出せません。

そして眼窩脂肪は歳を取ると痩せていく事が多いので、取り過ぎは厳に慎むべきです。「バエ」のために、大量に眼下脂肪を除去してしまうとどうなるか…そう、人工的な窪み目が出来てしまうのです。

眼窩脂肪の痩せはご多分に遺伝が影響します。瞼の腫れぼったさが気になる方は、ご両親の瞼を一度チェックしましょう。もし窪んでいるのならば、あなたの腫れぼったさは経時的に改善していく可能性があります。加齢による変化、あるいは先天的な眼窩脂肪の少なさ、あるいは外科的な過量の眼窩脂肪の除去によりsunken eyelidが生じて、治療をご希望される方。

 

もちろんその治療法はあります。
が、お話が長くなるので、とりあえず今回のお話はここまで。
いずれまた書きます。

 

2020/11/11 中村優