美容・形成外科医 中村優のブログ

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一重のまぶたは二重より厚ぼったいのか? ~論文紹介~

二重と一重の、瞼板前組織の厚さについて研究した論文があるので紹介します。


Saonanon P, Thongtong P, Wongwuticomjon T. Differences Between Single and Double Eyelid Anatomy in Asians Using Ultrasound Biomicroscopy [published correction appears in Asia Pac J Ophthalmol (Phila). 2018 Sep-Oct;7(5):364]. Asia Pac J Ophthalmol (Phila). 2016;5(5):335-338. doi:10.1097/APO.0000000000000185

 

 42人のアジア人の瞼で超音波エコーにて組織の厚みを検討しています。

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閉瞼時 瞼(一重)        瞼(二重)
紫線 重瞼の折目 (一重の人では7mmライン)
緑線 重瞼の折目より5mm高いライン


二重の折目部分(図中紫線)では
一重瞼の人は0.62±0.12 mm、二重瞼の人は0.57±0.08 mm(P = 0.03)
有意に一重の人の方が厚ぼったいと示されました。

しかしそこから5mm上(図中緑線)などでは有意な厚みの違いはないそうです。



この論文の解釈について
有意差を考える時(P = ***)というのは統計的などれほどの違いがあるかを考える指標です。ざっくりと説明すると0.05以下だと数字上は相関があります、0.01以下だとしっかり相関がありますよ、位の解釈です。その目で見るとこの論文では(P = 0.03)。まぁ、少し怪しげくらいな数値だと解釈してもらったほうが良いかと思います。しかも、有意差といっても0.05mmとなるとほとんど違いないですね。
とはいえ、有意差をもって一重のほうが二重より厚ぼったい、というのが数字で示された通読価値のある論文ではあると思います。


なぜその厚みの差がでるのでしょう。
「厚みの違いがあるから薄っぺらく癖が付きやすい→二重になる」
「二重だと腱膜の枝が皮膚を引っ張りこむ→組織が薄くなる」
卵が先か、鶏が先かみたいな問題になりますね。

 

2020・09・08 中村優