美容・形成外科医 中村優のブログ

美容・形成外科・メディカルイラストレーションなどについて書いていきます。

眼瞼下垂の典型症状と治療による改善

こんにちは、形成外科認定専門医・博士 中村優です。
あけましておめでとうございます。

年末の繁忙期ゆえすっかり更新をサボっておりました。今年は地道にイラストの増産をしていき、この解説用ブログも充実させられるようがんばります。


さて、本年最初の更新は、眼瞼下垂の典型症状と治療による改善について症例写真を交えながら提示します。

眼瞼下垂では自覚症状としては

①目を開くときに力が必要になる
②視野が狭くなった
③まぶたが重くなった
④眼精疲労、頭痛、肩こりがある

などがあります。瞼を開けようとしても開かないので①②③が生じ、常に全力でまぶたを開けようとするために④が起こるのです。


くわえて、眼瞼下垂は顔、見た目にも変化が現れます。

①目つきが悪くなった、眠たそうなどといわれる
②まぶたの形が変化し、くぼみが目立つようになった
③重瞼線の幅が変わり、三重などに乱れる
④目と眉の間隔が広がってきた
⑤額にシワが寄る など

それでは実際の症例写真で見てみましょう。

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④⑤は瞼を開ける筋肉=眼瞼挙筋が一人で機能を果たしきれないため、額の眉を引き上げる筋肉=前頭筋でそれをカバーしようとするため起こっています。
では適切な治療がなされるとどうなるかを次に提示します。

 

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瞼が開き、額のシワが減っていることがわかります。
力を込めずとも瞼が開くようになると、自覚症状としての頭痛、肩こりなども改善することが多いです。

 

最後に術後経過のまとめを載せておきます。
正面視(左)と強開瞼(右)です。

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頑張ってまぶたを開いたときには3ヶ月後でも以前と同じような額のシワがよっています。つまりそれだけ平常時には額の力を入れる必要がなくなった訳ですね。

このように、眼瞼下垂の治療は正しい適応の方に正しい治療がなされれば、良好な機能的・整容的な改善が得られます。

症状にお悩みの方はまずは一度診察を受けてみることをオススメします。

 

今回、症例写真を提供していただいた患者さんに感謝いたします。
今後も患者さんのためになるブログ作りに励みます。

主訴:目の開きづらさ
診断名:眼瞼下垂
患者:80代・男性
治療内容:挙筋前転
リスク・副作用:腫れ、内出血、左右差、感染、イメージ違い
        元に戻せない、修正困難、傷目立つなどのリスクあり
手術費用:保険適応3割負担で43200円(1割負担であれば、14400円)。
     その他術前検査、術後の診察代、薬剤の費用が別途あり。
 

それでは、今回はここまで。

 

2021/01/01 中村優
2021/12/09 中村優(追記)