美容・形成外科医 中村優のブログ

美容・形成外科・メディカルイラストレーションなどについて書いていきます。

症例写真:二重切開他院修正

形成外科認定専門医・博士の中村優です。こんにちは。

 

インスタの方に症例写真載っけても、インスタやってないです( ;∀;)という声が続いたので、ブログの方にも載せていこうかと思います。イージーアクセス!


今回は二重切開修正です。
折角のブログなので解説交えながらご紹介しますね。

さて、まずは来院時の状態です。

埋没で希望する二重幅にしたものの、すぐ取れて1度止め直し
他院にて二重全切開するも取れて再手術を2回
取れない二重になったものの希望する幅でなく他院に移り小切開を2回
やはり希望する幅にならずそのクリニックで修正という体で埋没をしてもらうも右が取れた・・状態が来院時の状態。希望は今の左の二重幅になりたい、です。

 

 

まずは状態のチェックです。

強開瞼、上方視で見ても開瞼能的には左右差はなさそうです。
二重幅だけ調整しに行けばうまく行きそうかな、という算段が立ちます。


では、二重幅は。


瘢痕の位置と折れ目の位置は必ずしも一致してないことがあります。
今回は一致してますね。赤色のラインです。
左が7mm、右が6mmです。

純粋に左右の切開する高さの違いが今の左右差を作っていそうですね。
つまり重瞼高だけ調整しにかかれば揃うじゃん、と言う算段がつくのです。
(開けてみたらそうでもないこともあるけど)

 

幅を左に揃えたいとのことだったので左の7mmで切開高を決め2mmの皮膚切除で幅を担保する作戦としました。右は新しく7mmから切り直しています。この時切除上端から眉毛までの距離は要チェックです。今回は17mm。左右の瞼の皮膚余剰が違う時、そしてそれを自覚してないときとかでもここで気づけます。左右差があったらデザインを調整です。

創を開けてみると両側1針ずつ腱膜固定がされていました。
腱膜固定がなされていない状態だと麻酔液の浮腫で開瞼幅は左右差が出ることがあります(これはほっといても直るやつ)。前転固定して左右差があるやつは直りません。直る気がしても直りません。術中所見が全てです(持論)。
直ってくるのではなくその他の要素で目立たなくなるだけです(持論)。

話が戻り。適切に腱膜固定がなされているので術中の開瞼に左右差はやはりないようでしたので、重瞼術だけしっかりやってきました。何度も取れたという教訓より翻転隔膜弁を6箇所以上留めました。

ということで術直後の所見。


術後翌日以降はわかりませんが、術直後は如実に仕上がりの予測ができます。
これでずれてなければズレることはまれです。先日JSAPSで発表した内容ですね。

 

そしてその後の経過です。

 

まぁ結局どれだけのことがされてようと、正しい高さで切り直し、全部分解して、正しく組み立て直せば全部治るんですよね。


ここまでの経過時点でもう修正の必要なし。
満足しました!との患者さんからのお声をいただけました。
よかったよかった。

最後に拡大比較画像も載せておきます。

今後手術を検討されている方の何かの参考になれば幸いです。
それでは今回はここまで。

2022/07/01 中村優