『瞼手術のダウンタイムはおおよそ2週間』の意味
形成外科認定専門医・博士の中村優です。こんにちは。
今回は二重切開をした方のダウンタイムについてです。
良くも悪くも平均的(だと中村が思っている)ものを提示します。
とりあえず経過まとめ画像から、どうぞ!
はい。ということで大体の流れがこれでわかると思います。
一つずつ解説していきましょうかね。
解説をするにあたり、まず知ってほしいことは腫れにかかわる要素についてです。
1.二重の幅(幅広二重ほど腫れる)
2.侵襲の強さ(手術時間など)
3.内部処理
4.患者の個人差
あたりが大きくかかわる要素です。
なので、先ほどの方のそれぞれの情報を振り返ると
1.二重の幅 結構幅広→腫れは強め
2.侵襲の強さ 手術時間1時間ほど→平均やや早めくらい?腫れ少な目要素
3.内部処理 中縫いなし、反転隔膜弁を皮膚に縫い込む→腫れ少ない
4.患者の個人差 平均的
ということで腫れやすさ腫れにくさの要因の+-が重なり合い、ちょうど想定通りの経過をたどった典型的of典型的な症例だとわかります。
さて個別に解説します。
術直後。
既に腫れは始まってますがここからはいろいろな情報が読み取れます。
まずは平行か、末広か。ラインの走り方は基本的に腫れが引いても変わりません。
今回はラインがぴったり蒙古ひだに乗ったMIXぽい平行。
一番判定しづらいタイプです。が、しっかり蒙古ひだの下に吸い込まれていなさそうので大丈夫そうではあります。
次に眼の開きと二重幅。
この時点でずれてなければ、その後ズレることはまれです。
なので僕は最終チェックがわりとしつこめです。
概ね左右均等な腫れと目の開きですね。GOODです。
術中強い出血や腫れが出てしまった場合は直後に左右差が出ることもあります。けれどそれは腫れが落ち着くと馴染んでいきます。術直後の状態で気になることがあれば執刀医に尋ねてみるのが良いでしょう。
さて、お次。1週間後。
抜糸した直後ですね。お、ラインは無事平行方向に流れてくれそうです。
腫れはある程度おちついてますが、うーんやはり内出血。黄色紫色が出てます。
からの2週間。
お!内出血が落ち着きました!
この画像1枚だけを見たら手術したかどうかってわからなくないですか??
『内出血が落ち着く』これが結構大事なポイントだと僕は考えていて、これをもっておおよそ『瞼の手術のダウンタイムは2週間くらい』と説明してます。
もちろんまだ腫れてるので今後腫れが引いていきます。
完成まで乞うご期待!の状態ですね。
術後いつから働けますか?はよく聞かれる内容です。
正直翌日からだってごらんのとおり、働くこと自体は可能なのです。
あとはどれだけの腫れた状態を患者さん自身が許容できるかだと思います。
せめて抜糸はしてからにしたいか?
腫れが落ち着いてからにしたいか?
手術をしたことがばれたくないか?
価値観によりその答えは変わってきてしまいます。
なのでさしあたりの中村的一つの模範解答
『内出血がおおよそ落ち着く2週間』として今回ご紹介した訳です。
手術内容によって腫れの度合いなどは結構大きく変わってくるので、執刀医の先生といつごろから仕事が再開できるか、話し合ってみるのも良いでしょうね。
ダウンタイムは手術には必ずついて回ります。腫れない二重切開などの甘言に釣られぬよう、現実と上手に付き合っていきましょう。
それでは今回はここまで。
2022/07/07 中村優