ザッツ形成外科番外編 ~形成外科は綺麗なお仕事だけじゃないんだぜ~
形成外科認定専門医・博士の中村優です。こんにちは。
今回は形成外科が何をしている科なんだか紹介していきたいシリーズ、番外編1&2!
本編では他科とかぶる疾患を順に進めてましたが、今回は形成のお作法、基本手技の解説です。その名も『デブリードマン』と『ブルゼクトミー』。
実際はちょっとした感染創だったら、洗えば治ります。
それがちょっとした感染じゃなかったら…?
洗うくらいではだめなのでごしごし擦る必要があります。
ゴシゴシ擦るくらいではだめだったら…?
そりゃもうガシガシと傷のだめなところを削り取るしかないわけです。
それが『デブリードマン』。
デブリードマンを行った創は、放っておけば勝手に治っていきます。軟膏などを使って湿潤の環境を作ってやればさらに治るのは早まります。人間の治癒力ってすごいのです。そのような傷の治し方をオープントリートメントと言います。傷を縫って閉じるのと対極で、ぱぁぱぁに、あけっぴろげでなおすからですね。
けれど!デブリードマンを行っても更に更に!治らなかったら…?
そのような治療抵抗性の傷のことは『難治性潰瘍』と一般に呼ばれます。
難治性潰瘍の治らない原因は、傷そのものにある場合もあれば(局所感染など)、傷の置かれている環境(栄養不足、血流不足など)にあることもあります。
手先が器用なだけでは形成外科は務まらないのです。まさかの!時々はかしこさが必要なのです。原因をしっかり突き止め、それを虱潰しに解決することでやっと難治性潰瘍は治癒方向に向かうのです。
…さて、話が脱線してきました。話を戻しましょう。
そんな局所の治療であるデブリードマンの最大級の技が『ブルゼクトミー』なのです。
ザケルに対するバオウ・ザケルガ。アギに対するマハラギダインです。
きちんと局所の感染性組織さえ全摘できれば…あとは、オープントリートメントでも治るようなヌルい傷に戻っているはずです。
以上、今回は2本立てでお送りしました。
いつものザッツは一般人向けなのに対して、今回のは形成外科1年目の子向けって感じかしら。
ちなみに端折ってある最後の傷の閉じ方も、実は形成外科の活躍する場面。
続編に乞うご期待ということで。
それでは今回はここまで。
2021/9/15 中村優