眼瞼下垂かどうかの判断は難しい② ~偽性眼瞼下垂とは?~
形成外科認定専門医・博士の中村優です。
こんにちは。今回は眼瞼下垂の診断の仕方についての続編です。
前回の更新では、眼瞼下垂の診断基準としてMRDを利用するということを解説しました。
今回は「MRDを測るだけでは眼瞼下垂かどうかは判断できない」というのがテーマです。
・・・いきなり矛盾したことを、言い出した感じになりましたね。
これは もう図で見たほうが分かりやすいです。
と、言うことです。
眼瞼下垂は眼瞼挙筋の衰えや腱膜のたるみで、結果として瞼が引き上がられない状態。
その評価指標として瞼の開き具合=MRDを利用しようとしたはずが、瞼のたるみが強い場合、瞼を引き上げる力自体はあるはずなのに、皮膚のたるみに隠されて瞼が開いて無い様にみえてしまうことがあるのです。このような状態を偽性眼瞼下垂と呼びます。
当たり前ですが筋肉がたるんでいるわけではないので、いわゆる挙筋前転をしても偽性眼瞼下垂の人に治療効果はほぼありません。こういう人にはたるみをとる、つまり皮膚切除が理にかなった治療であると言えます。
ということで。
今回は
・MRDだけ見てれば眼瞼下垂を診断できるわけじゃない
・MRDの数値としては悪いのに本当は眼瞼下垂じゃない偽性眼瞼下垂がある
ということを説明してきました。
次回は今回の逆、MRDは良いのに実は眼瞼下垂です、みたいな状態があることについて説明していく予定です。
主訴:目の開きづらさ、上瞼のたるみ
診断名:上眼瞼皮膚弛緩症、偽性眼瞼下垂
患者:60代・女性
治療内容:眉毛下皮膚切除術
リスク・副作用:腫れ、内出血、左右差、感染、傷跡が残るなどのリスクあり
価格:モニター価格で約30万円
それでは今回はここまで。