目の下のクマ、凹みがあると治療大変ですよってお話
こんにちは、形成外科認定専門医・博士 中村優です。
今回はクマについてです。図説クマ3部作、最終章(予定)です。そして伝説へです。
クマ取り関連はこちらも参考にしてください。。
・なぜできるかpart1
・クマのいろみの種類part2
・クマ取りで起こる注意事項;術後変化(図説No.1)part3
・赤クマとは (図説No.2)part4
今回のお題は、目の下のクマ、凹みがあると治療大変ですよってお話。
ということで早速3つの目を用意しました。
真ん中、右はそれぞれクマがあります。
ですが、実はこの2つは結構違う病態なのです。治療法まで変わってきてしまいます。まずは違いの答え合わせ。
↓
クマの下、膨らみだけなら影が入るだけなのですが、そこに光が当たる場所がある場合があります。これは、凸だけでなく凹があるから生じる現象です。
凸だけの状態であれば、以前説明したようにそこの部分の脱脂だけでもかなりの改善が見られると思われます。1例として、下眼瞼経結膜脱脂をするとこのようになります。
斜めから見るとわかりやすいですね。
膨らみだけが消えて非常にgoodです。凹みは目立ちません。
本筋に戻ります。
凹をあわせもつクマの場合、最悪凸部分の治療だけをすると余計に目立つ場合があります。それは原因を知ってみると理解できると思います。
ではなぜこんな凹が生じてしまうのでしょうか。
その原因は・・・
目の下部分の脂肪が生まれつきのボリューム不足であることも少なくないです。
ですが、中年以降の方の場合、メイラーファット部分(緑斜線)が加齢性にたるみ、下垂してしまうことで瞼部分と頬部分の脂肪が泣き別れ状態になってしまうことが多いです。
ということはつまり。
凸部分だけ治療すると凹部分だけ強調されてしまい、年をとったたるみに似た印象を与えてしまう場合があるということです。
では、具体的にその治療法についてです。
代表的なものではこのように
1.眼窩脂肪移動術(ハムラ法)にて上の脂肪を下に寄せて溝ができないようにする
2.脂肪注入をすることで溝ができないようにする
・・・・などがあります。
他にも
3.ミッドフェイスリフトでメイラーファットを上に持ち上げて溝ができないようにする
など、法令線もやっつけたい場合には抜群な術式もあります。
ではどの術式が最も優れているか。
これは病態にあったもの、あるいは患者希望に沿ったものを選択するのが正解なのだと現在は思っています。
これはどういうことか。
だってメスを入れたくない人にとってはメスをいれる選択は正解ではないですよね?
ヒアルロン酸や脂肪注入単体などがその場合は良いでしょう。
また、クマの原因が、たるみが主因だったらフェイスリフトを一緒にするのが正解でしょう。
誰にでも当てはまる正解の術式は存在しません。
だからこそクマ治療は知識・技術の幅あるドクターに任せるのが大事と言えます。
最後に、今回のお話を全部まとめた原本を載せておきます。
今回から通し番号を降り出しました。さあ、このシリーズどこまで僕が飽きないかがこれでわかっちゃいますね。
それでは、今回はここまで。
2021/02/28 初回
2021/03/01 ハムラ法症例追記 中村優