クマ取り手術の術後の変化について
こんにちは、形成外科認定専門医・博士 中村優です。
先日ipad proを購入したんですよ。
これでイラスト作成が捗る!!
と言って、前回更新に載せたように呪術廻戦のイラストばかり描いていたら仕事しなさい!と妻に怒られましたよね。
・・・と、言うことで仕事します。
本日のテーマはクマ取り手術の注意点についてです。
そもそもクマってなんなのよっていうことに関して、今まで2回記事を書いています。 →なぜできるかpart1, クマのいろみについてpart2
もう一度軽くまとめますと。
眼球のクッション材的な役割を果たす眼窩脂肪(オレンジ)は、眼窩隔膜(水色)の中に収納されています。それが重力に従い下瞼部分で重みに負けてくると前方に突出してきてクマとして現れてくるのです。これは隔膜のたるみ(加齢)が原因であったりそもそも眼窩脂肪が多いことが原因だったりします。
それに対する手術として、中でもお手軽なものは下眼瞼脱脂術と呼ばれます。
更にその中でも最近の流行り的によく行われている施術が「経結膜脱脂」だとか、「切らないクマ取り」だとか呼ばれています。
比較的容易に脂肪が除去でき、それなりの結果が得られるので自称クマ取り専門医が横行したりする原因となっているわけです。
けれども、本当は脂肪とりゃ良いッていう簡単な手術ではないのですよ。
それは下瞼だけでおさまらない術後の位置変化が生じうるからです。
どういうことか。まずはこのイメージ図を御覧ください。
ウイスキーに浮かぶ氷。ウイスキーが多いほど氷は高く浮きますよね?
ウイスキーは眼窩脂肪、氷は眼球だと思ってください。同じようなことが眼窩で起こるのです。つまり。
上瞼がくぼむ、窪み目やsunken eye(左)になる可能性や、眼球の位置が奥まる、奥目になる(右)可能性がある、ということですね。
では、これを防ぐためにはどうすればよいか。一番純粋かつ明快なのは「取りすぎない」こと。ピッタシor気持ち少なめの切除を心がけることが大事だというわけです。
最後に全部まとめた状態のイラストもアップしておきます。
これをtwitterであげたところ、結構な反響を頂きました。
ということで、次回はこの続編として脂肪移動術(ハムラ法)と脱脂の違いや、脂肪注入についての解説をしたいと思います。
それでは、今回はここまで。
2021/01/18 中村優