美容・形成外科医 中村優のブログ

美容・形成外科・メディカルイラストレーションなどについて書いていきます。

下まぶたのたるみ(クマ)について2 クマの色みについて

形成外科専門医 中村優です。

前回、病態だけ説明して色々と後回しにしていましたので、その続きをお送りします。

 

くまはその物理的な凸凹だけでなく、色みがついていることがあり、今回はその原因について解説していきます。

 

・青クマ
青っぽく見えるクマです。寝不足や目の疲れなどにより生じる眼輪筋の血行不良により生じると言われています。そのため、保存的治療で改善出来る可能性があり、血流の改善(ホットアイマスクなどの使用、睡眠)が奏功することがしばしばあります。

 

ちなみに眼精疲労は外眼筋という目を動かす筋肉の筋肉疲労から来るらしいです。
なので蒸しタオルを1分ほど目元に置いとくと、とても改善します。(経験談
冷やすのは効きそうだけど、意味ないらしいですよ。(トリビア

 

・黒クマ

クマによる陰影で生じているものであり、色調の変化が生じているものではないのです。笑ったときなどに目立ちやすくなります。保存的治療での改善は困難です。

 

・茶クマ
色素沈着によって生じる茶色のクマです。そして、色素沈着の原因は細かな刺激や炎症です。つまり目をよくこする人に多く生じます。いわゆるシミ取りなどの美容皮膚科的治療での改善を目指します

 

・赤クマ

目袋の突出に一致する赤みがかったクマです。これは皮下の眼輪筋の筋肉の色を見ているのです。普通は浅いところから順に皮膚、皮下脂肪、筋肉、骨…という順に存在するのですが、瞼は体の中でも珍しい構造になっていて、皮膚の下にはすぐ筋肉(眼輪筋)があります。そのため、クマが強くでている(=前方への眼窩脂肪の突出)人では眼輪筋が皮膚に押さえつけられることにより、その色みが強く見えやすくなります。

 

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クマのある位置より尾側ではmalor fatが皮下脂肪としてついてきて、筋肉はその他の部位と同様に、脂肪より深い位置に局在していきます。そのため赤クマは瞼のクマ部分にのみ目立って生じるのです。治療方法はその眼窩脂肪の突出を解除してあげればよく、いわゆるクマ取り手術により改善する可能性があります。

 

さて、次回はそのクマ取り手術の実際をご紹介します。

それでは今回はここまで。

 

2020/11/24 中村優